よろず日報

世界中のあらゆる出来事の中からトレンドになりそうでならない、でもニュースバリューのある面白そうな事を探してアップしています。

ダルトン・トランボはハリウッドに最も嫌われた男!日テレ「世界一受けたい授業」で紹介

脚本家のダルトン・トランボが、日テレのバラエティー番組「 世界一受けたい授業 本当は怖~いSP」で紹介されます。

7月22日からは、「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」として映画も公開されています。

アカデミー脚本賞に輝いたとはいえ、ただの脚本家でしかなかった彼が、どうして映画化されるまでになったのでしょうか?

 

次のアカデミー賞でも期待される作品だけあって、日本での興行が気になるところです。

トランボの、実像に迫ってみました。

 

 

f:id:wwptalk:20160728230140j:plain

 

 

不遇の天才脚本家

 

第二次戦争が終わった直後、全米を巻き込んで起こった共産党主義者を排斥する運動は、その暗い影をハリウッドにまで落としていました。

当時の有名俳優が発起した「アメリカの理想を守る映画連盟」は、映画界の共産主義を一掃する目的で設立されました。

その頃、狂気的な反共産主義者として先頭に立っていたのは、アメリカ上院議員であったジョセフ・レイモンド・マッカーシーでした。

 

旧ソビエトとの冷戦、中国共産党の成立、加えて朝鮮戦争による共産主義国の連立は、自由主義国家であるアメリカに脅威をもたらしました。

マッカーシーの共産主義者排斥運動は、当初はただ民主党員を弾圧するための行動でした。

しかし、やがて矛先は共産主義者に向けられ、例え共産党員ではなくても弾圧の対象となりました。

 

ちょうど同じ頃、脚本家としては名声を手にしかけていたトランボも、非米活動委員会(反共産主義組織)から目を付けられていました。

彼は、委員会からの度々の召喚にも応じず、または証言も拒否したので、逮捕されて投獄されてしまいます(トランボは本当の共産党員でした)

二年の刑を終えて出所してきた彼は、ハリウッドからも拒否されて路頭に迷います。

 

ところが、ハリウッドの映画製作者の中には、トランボの創作力を高く評価する人もいて、B級映画の脚本依頼が多く来るようになります。

B級作品の脚本を手掛ける傍ら、偽名を使って違う作品の脚本を書き、いつしかその脚本で作られた映画がアカデミー賞を取るまでになりました。

しかも、一作だけでは飽きたらず、実に二度のアカデミー賞を獲得したのです。

 

 

「ローマの休日」の脚本を執筆

 

当時、まだ無名だったオードリー・ヘップバーンを一躍スターダムに押し上げたのは、グレゴリー・ペックとの共演で話題になった「ローマの休日」でした。

イギリス王室の奔放な王女様、マーガレット王女をモチーフに作られたと言われる作品です(実際は無関係だそうです。ただし、王女のスキャンダルに便乗したのは本当)

当初は、イアン・マクレラン・ハンターの手による脚本でしたが、その後調べてみると、トランボの執筆だと分かりました。

 

この映画は、女優賞、デザイン賞、さらには原案賞までを取り、1953年の話題をさらった作品でした。

しかし、トランボは表には出られず、表彰を受けたのはハンターでした。

そして、トランボの死後17年が経った1993年に、彼の功績をたたえて、改めて「ローマの休日」に対する最優秀原案賞が贈られました。

 

 

映画「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」

 

製作スタッフ

監督 :ジェイ・ローチ
脚本 :ジョン・マクナマラ
原作 :ブルース・クック
製作総指揮 :ケリー・ミューレン
製作 :マイケル・ロンドン 、 ジャニス・ウィリアムズ 、 シヴァニ・ラワット 、 モニカ・レヴィンソン 、 ニミット・マンカッド 、 ジョン・マクナマラ 、 ケヴィン・ケリー・ブラウン
撮影 :ジム・デノールト
美術 :マーク・リッカー
音楽 :セオドア・シャピロ
編集 :アラン・ボームガーテン
衣裳デザイン: ダニエル・オルランディ
キャスティング :デイヴィッド・ルービン

 

 

キャスト

ブライアン・クランストン
ダイアン・レイン
エル・ファニング
ヘレン・ミレン
ルイス C.K.
デヴィッド・ジェームズ・エリオット
エル・ファニング
ジョン・グッドマン
マイケル・スタールバーグ
アラン・テュディック

 

 

赤狩り(共産主義者排斥運動)

 

トランボを語るには、先ずは赤狩りを語らずには始まりません(順番が前後してしまいました)

マッカシーを先方に、アメリカ国内をひっくり返すような騒動に発展したこの運動は、1945年から54年までの9年間継続されました。

その頃、何人もの将来を有望視されていた映画関係者が追放されており、トランボもそのうちの一人だったのです(彼らはハリウッド10と呼ばれています)

 

面白いことに、彼が手がけた脚本を元に作られた映画では、赤狩りに反対した俳優が主演を飾っています(カーク・ダグラスは「スパルタカス」でトランボの復帰に力を貸しています)

 

なぜまたハリウッドに白羽の矢が立ったのかといえば、共産主義思想を多くの人に伝えるためには、当時隆盛を極めていたハリウッド映画を利用するのが、最も効果的だったからです。

同じ頃に、映画の中では様々なCM(今のようなスタイルではなく)が流され、爆発的な人気を博した商品も生まれました。

チャールズ・チャップリンが、イギリスだけではなく、ハリウッドでも名声を欲しいままにしていた時期でしたが、その彼すらも、1952年にアメリカからの国外追放命令を受けています(1972年にはハリウッドからの招待を受け、アカデミー賞名誉賞を授与されています)

 

また、FBIの初代長官であるジョン・エドガー・フーヴァー(John Edgar Hoover)も、赤狩りに協力した人間の一人でした(こいつはマッカーシーよりも質の悪い権力者でした。一頃は大統領以上の力があったと言われています)

 

 

f:id:wwptalk:20160729020111j:plain

こちらがご本人です。

 

 

終わりに

 

彼自身は共産党員でありながら、ただ証言を拒否しただけで収監された不遇の脚本家、それがダルトン・トランボでした。

天才と謳われるも、その才能を発揮する機会を奪われ、それでもまだ飽くなき闘志で第一線に復帰した、不屈の男でもありました。

文章だけを読めば美談ですが、彼の生涯はまさに波乱に満ちていたのではないでしょうか。

 

今回、日テレの番組「世界一受けたい授業 本当は怖~いSP」で特集されるに当たり、その真実が明かされます。

ハリウッドに復帰できたとはいえ、まだまだ誤解されるイメージがつきまとうトランボです。

これを機に、彼の本当の姿を知ってもらえるといいですね。

 

映画「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」は、ただ今TOHOシネマズで絶賛公開中です。

「世界一受けたい授業 本当は怖~いSP」は、7月30日(土)の19:00~20:54の放送予定です。

 

 

こちらもおススメです。

yorozunippou.hatenablog.com

yorozunippou.hatenablog.com

 

「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」日本語トレーラー

youtu.be